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知的財産権

歌詞のワンフレーズの著作権

歌詞のワンフレーズの著作権

ツイッターやインスタグラムといったSNSでは、自分の好きな音楽の歌詞のワンフレーズを呟いたり、キャプションとして載せている場合もあるかもしれません。

通常、全ての著作物には著作権があり、作者に無断で著作物を使用してはいけません。

ただし、限られた範囲の私的使用(私的利用)や、「引用」の条件を満たした使用の場合は、著作権の侵害には当たりません。

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この私的使用の範囲は非常に難しく、議論が分かれますが、ネット上に公開することは、その範囲を越えたものと考えられます。

私的使用とは,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内における使用をいい,私的使用を目的としたものであれば,著作物の種類を問わず,公表されたものか否かをも問わず,その複製が認められます。

ここで,「個人的又は家庭的その他これに準ずる限られた範囲内」とは具体的にどのような範囲を指すのかが問題となります。

出典 : 著作権の制限 – 私的使用のための複製 –

ツイッターやインスタで呟くことは、私的使用には当たらず、著作権に注意が必要ということになります。

同じように、歌詞も、手紙やメールではなくツイッターやインスタに掲載すると、基本的には著作権侵害であり、「違法」な行為となります。

この件について、音楽や歌詞の著作権管理を行なっているJASRACは、過去に、「ツイッターで行われる歌詞のつぶやきに関する使用料は検討中」と語っています。

JASRACは音楽の著作権を管理する団体で、著作者に代わって利用料を徴収する業務を行なっている。今回の騒ぎを受けて、JASRAC広報に問い合わせてみたところ、ツイッターで歌詞をつぶやいた場合の利用料について「現在も検討中だ」と答えた。

出典 : ツイッターで歌詞をつぶやいたら、著作権法に触れる? | 弁護士ドットコム

この場合の使用料というのは、つぶやいた本人ではなく、ツイッター社に請求する、ということのようです。

一方、歌詞と言っても全文ではなく、歌詞の好きなワンフレーズや小説の一節をツイートやキャプションで掲載するなど、わずかな文章量であれば著作権侵害ではないのではないか、という声もあります。

著作権に詳しい福井弁護士は、次のように違法か否かのラインを説明しています。

まず、著作権が働くのは『創作的な表現』であって、ごく短いフレーズはなかなかあたりません。ですから、既存の曲から、歌詞のごく短い一部だけを借りてくる場合には、ひとの著作物の利用にはならず、問題はありません

どの程度の短さなら良いかと簡単には言えませんが、私はかつてコラムの中で『♪にくいよ!この、ど根性ガエル』(『ど根性ガエル』主題歌のフレーズ)程度はいいのでは、と書いたことがあります。

他方、歌詞ではありませんが、短いフレーズという点では、かつて裁判で『ボク安心 ママの膝よりチャイルドシート』という交通標語が、いわばギリギリで著作物だと認められたことがあります。このあたりがひとつのヒントになるかもしれませんね。

出典 : ツイッターで歌詞をつぶやいたら、著作権法に触れる? | 弁護士ドットコム

福井弁護士は、「歌詞のごく短い一部だけを借りてくる場合」には、著作物の利用には当たらない、と指摘します。

この指摘から考えるに、歌詞のワンフレーズをSNSで呟く程度なら、問題ないということになるでしょう。

ただ、その範囲がどれくらいか、というのは、はっきりしていません。

一方、全ての著作物が短ければ著作権侵害には当たらないのかと言うと、「短いままでも一つの作品」という著作物もあります。

たとえば、例として挙げられている交通標語、また俳句や短歌なども、文字数としては短いですが、れっきとした一つの著作物になります。

そのため、交通標語や俳句、短歌などをツイッターやインスタに無断で掲載すると「著作権侵害」に当たります。

しかし、著作権は、一部の例外をのぞき、基本的には侵害された作者が訴えないかぎり問題にならない「親告罪」です。

さも自分が作者のように偽って公表したらアウトですが、しっかり作者名などを掲載すれば、実際は、それほど作者側が訴える、問題視する、というケースも多くはないかもしれません。

いずにれせよ、ツイッターやインスタで好きな歌詞のワンフレーズを呟くだけでも、その都度使用料を徴収する、というのは、これだけSNSが一般的になっている時代に、なかなか現実的ではありません。

今後は、ツイッター社などとJASRACが、個別に包括契約を結ぶ、ということも考えられるのではないでしょうか。

以上、歌詞のワンフレーズと著作権でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

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