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著作権

ネタバレは違法か

ネタバレは違法か

ネタバレと著作権

まだ公開中の映画や、発売したばかりの漫画の内容を、ネットやSNSに公開する「ネタバレ」行為が問題になっています。

ネタバレ、というのは、文字通り、話のネタが、バレる、という言葉に由来します。

ネタバレとは、作品(小説、劇、テレビ番組、映画、漫画、ゲームなど)の内容のうちの、物語上の仕掛けや結末といった重要な部分を暴露してしまうこと。またはその情報のこと。物語性のある内容以外にも、生中継ではないスポーツの勝敗などが意図せず露見してしまうことに対して用いられることがある。

出典 : Wikipedia「ネタバレ」

作品のネタバレ情報を発信する場所としては、ツイッターやインスタグラムのようなSNS、ネット掲示板、また、ブログの記事やYouTubeの動画などが挙げられるでしょう。

これから映画やドラマ、漫画を見ようと楽しみにしている人にとっては、物語の重要な場面や結末の「ネタバレ」を吹聴するのは、絶対に許せない行為かもしれません。

心理面として、ネタバレが嫌だ、という心情は、大いに理解できます。

一方で、マナー上の問題は別として、そもそもネタバレは、法律上、著作権の問題が絡んだ違法行為に当たりはしないのでしょうか。

弁護士の梅澤康二さんによれば、「そのようなケースでのネタバレを罪に問うことは一切できません」と言います(出典 : 大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!)。

ネタバレは、著作権の侵害(違法)には当たらない、とのこと。

もしネタバレそのものが違法なら、たとえば、著作権は作者の死後70年で切れるので、よほど昔の作品でもないかぎり、物語の結末を出しては語れない、といった話にもなってしまうでしょう。

ネタバレ自体は、著作権的に問題ではありません。

しかし、近頃、漫画の「ネタバレ」サイトの運営者が逮捕された、という報道を耳にすることがあるかもしれません。

人気漫画の画像を発売前にネット上に掲載したとして、男ら5人が逮捕されました。

沖縄県の自称・自営業の上原暢容疑者(30)ら3人は、週刊少年ジャンプに連載されている人気漫画「ワンピース」などを漫画発売前にネット上のサイト、いわゆるネタバレサイトに掲載した著作権法違反の疑いが持たれています。

警察によりますと、上原容疑者らは、サイトの運営で約7400万円の広告収入を不法に得ていたとみられていて、容疑を認めています。いわゆる漫画ネタバレサイトの検挙は全国で初めてです。

出典 : テレビ朝日系(ANN)「人気漫画の画像を発売前にネット掲載 男ら5人逮捕」

こうした漫画の「ネタバレサイト」の運営者が逮捕された事件以外にも、漫画(他人の著作物)の画像や文字情報をYouTubeにアップする行為も違法である、という判断が下されています。

小学館は28日、著作権者に無断でYouTube上に漫画『闇金ウシジマくん』の画像や文字情報をアップロード(投稿)する行為が著作権侵害にあたるとして、27日に東京地裁がYouTube社(本社・米カリフォルニア州)に対し、投稿者の発信者情報の開示を命じる仮処分を決定したと発表した。漫画そのものだけでなく、文字だけを抜き出す投稿の違法性も認定した形となる。

出典 : 漫画・ネタバレ動画 東京地裁がYouTubeに発信者情報の開示命じる。文字だけの抜き出しも“違法“|HUFFPOST

一体、なぜ「ネタバレ」は著作権上は違法行為ではない(合法)のに、「ネタバレサイト」は犯罪(違法)として摘発されるのでしょうか。

ネタバレの境界線

報道では、「ネタバレサイト」と一括りにされていますが、この「ネタバレサイト」と「海賊版サイト」は、厳密には違います。

両者は、重なっている部分もありますが、微妙に違いがあり、「ネタバレサイト」のほうがより広い意味を持ちます。

海賊版は、たとえば、漫画なら漫画を、そのまま写真に撮るなどして複製し、ネット上に公開したり販売することです。

一方、ネタバレは、文字通り「ネタ」が「バレる」ような情報を掲載することを指します。

「海賊版」・・・作品を複製し、そのまま転載ないしは販売すること。

「ネタバレ」・・・作品をそのまま転載する海賊版もネタバレと言えばネタバレですが、作品の内容やオチを自分の言葉で語ることもネタバレに含まれます。

海賊版サイトは、著作権侵害(違法)になります。

一方、ネタバレサイトの場合、「海賊版」は違法ですが、「自分の言葉」で作品の起承転結や流れ、オチを語る場合など、その作品の「ネタバレ」そのものについては、著作権法上の違法行為には問われません。

ちょっとややこしいかもしれませんが、ネタバレのみを目的としたサイトを、主に「ネタバレサイト」と表現している面もあるように思います。このネタバレサイトと、ネタバレ情報も含んでいるサイト(ブログや動画)は別で、前者は場合によっては違法性が問われますが、後者は著作権的に問題ではありません。

理由は、著作権によって守られるのは、作品そのものであり、作品の「アイデア」ではないからです。

先ほどの梅澤弁護士は、次のように解説しています。

ネタバレ記事内にアップロードした画像が著作権で保護されるものであれば、違法となる可能性はあります。他方、書籍・漫画のストーリーを自分の言葉で表現する行為は違法ではなく、刑事はもちろん、民事の責任を問われることもありません。

書籍・漫画の公開で責任を問われるのは基本的には著作権を侵害した場合ですが、著作権で保護されるのは書籍・漫画の表現行為です(文章とか画像などの表現)。

ストーリーの内容は情報としての価値はあるかもしれませんが、その内容・アイデアには著作権はありません(著作権はあくまで著作物の表現それ自体を保護するものなので、表現の中身(内容)には保護は及びません)。

出典 : 大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!

そのため、「ネタバレサイト」が摘発されたからと言って、ブログやツイッター、インスタグラムでネタバレをした人も端から著作権侵害だ、というわけではない、というのは重要なポイントでしょう。

ネタバレそのものは違法ではない。例えば漫画のファンがTwitterやブログにいち早く感想を書き込むような例であれば、特段の問題はない。もちろん、ファンの間では少しでもネタバレされるのを嫌がり、自ら入手するまでにネタバレをするTwitterカウントを見ないように自衛している人も少なくないが、あくまでも感想レベルであればセリフやストーリーの概略を書き込んでも問題視されないのである。

しかしながら、今回の事例は感想の域を超え、一字一句ほぼ詳細にセリフを書き写していた。その悪質さから著作権侵害に当たると判断され、摘発となったわけである。

出典 : ネタバレサイトに罰金50万円の略式命令 セリフやストーリーの書き込みも違法の判断に

このように、ネタバレは、文字情報に変換してあっても、細かなストーリーや、一字一句詳細にセリフまで書き込み、感想の域を越えているような悪質性が見られる場合は、著作権侵害に当たります。

それから、ネタバレ自体が違法ではないとしても、マナーの問題はあるので、ブログやYouTube動画などの場合は、冒頭に「ネタバレあり」と表記したほうがよいかもしれません。

その他、ブログで実際の漫画や小説など作品の一部を、そのままの形で掲載するとしても、「引用の条件」に合致していれば、そのネタバレも「合法的」で正当な行為となります。

ネタバレだから即違法、と勘違いすると、言論においても色々と窮屈になり、ネタバレを含んだ感想を語ったら駄目なんじゃないかと萎縮する可能性も出てきますが、必ずしもネタバレ自体が問題というわけではない、という点は注意が必要でしょう。

以上、ネタバレと著作権の関係性でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

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