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知的財産権

新聞記事や雑誌をSNSに載せる行為と著作権

新聞記事や雑誌をSNSに載せる行為と著作権

SNSのアップ

ネット社会となり、SNSがすっかり生活の一部になっている現代社会では、新聞記事や雑誌の紙面を、ツイッターやフェイスブックに載せるというケースも頻繁に見られると思います。

誰かによってアップされた新聞記事や雑誌が、ときには物凄い勢いで拡散され、数多くの人の目に触れることもあります。

ところで、新聞記事や雑誌の紙面をツイッターなどに載せる行為は、著作権上の問題にはならないのでしょうか。

結論から言うと、新聞や雑誌のSNSへのアップは、原則的に「著作権侵害」となります。

まず、著作物の定義は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものです。

新聞や雑誌(雑誌の場合は、表紙も含め)も、よほど事実だけを羅列している文章でないかぎりは、れっきとした著作物であり、著作権が発生しているので、無断転載をすれば違法となります。

もう少し細かく説明したいと思います。

複製行為は、著作権法上、「私的使用」に関しては許されています。

この「私的使用」とは、個人的に、又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを意味し、その範囲内なら、写真の撮影などの複製も問題ありません。

しかし、不特定多数の人に発信するSNSやブログなどへの公開は、たとえ「商用利用」ではなかったとしても、「私的使用」の範囲外となります。

そのため、インターネット上にアップするために新聞記事や雑誌の紙面の撮影をすることは複製権の侵害に、また、実際に公開する行為は公衆送信権の侵害に(要するに著作権侵害に)該当します。

一方で、著作権者の許可なくSNSなどにアップしたい場合には、「引用」の要件を満たしている必要があります。

以下は、文化庁のホームページに掲載されている「引用」の要件です。

  • 既に公表されている著作物であること
  • 「公正な慣行」に合致すること
  • 報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
  • 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
  • カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
  • 引用を行う「必然性」があること
  • 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

たとえば、SNSで、新聞記事や雑誌を撮影した紙面の写真と一緒に、ごく短い解説や感想を添える、というのは、「引用」の要件を満たしているとは言えません。

簡単な解説文だけを加えて、雑誌や新聞の記事を1ページ丸々撮影した写真をブログやSNS掲載する行為は、引用の範囲を大きく超えると考えられます。「出典を明記すれば引用になるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、このような掲載では引用の条件である主従関係をみたしていないので、著作権侵害になる可能性が高いと思われます。

出典 : 木村剛大他『クリエイターのための権利の本』

ちょっとした文を添え、雑誌や新聞の記事を丸々撮影して公開した場合、著作権法上の「引用」には該当しないので、著作権侵害に当たります。

以上のように、厳密に言えば、新聞記事や雑誌の写真をツイッターやインスタなどSNSに載せる行為は著作権侵害となります。

しかし、現実としては、ツイッターやフェイスブックなどで新聞記事がアップされたり、インスタグラムで雑誌の中身や表紙写真がアップされる、ということは頻繁に行われています。

その一つ一つを、その都度告訴する、というのは実際には非現実的です。

また、著作権者や企業の側も、新聞や雑誌の宣伝となっているなどメリットを感じている場合、黙認している、というパターンもあるかもしれません。

あまり多いと問題ですが、この辺りは、時代の変化とともに、より議論を深めていく必要があると言えるかもしれません(一般的には、使用許可を得たい場合、新聞社や雑誌社に、指定の方法で申し込み、利用料を払うという仕組みになっています)。

切り抜きの社内利用

もう一点、ネット上ではなく、新聞記事や雑誌の物理的な「切り抜き」の使用に関しては、著作権侵害の問題が発生するでしょうか。

切り抜きやコピーしたものを、先ほどの「私的使用」の範囲で利用する分には問題ありません。

繰り返しになりますが、私的使用とは、「個人的に、又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」です。

そのため、会社や団体の会議などで利用する場合は、私的使用の範囲外となっているので、著作権侵害に当たります。

著作権法は、私的使用の範囲内でコピーする場合は、著作物の自由利用を認めていますので、社内会議に於けるコピーの使用が、私的使用と言えるかが問題となります。

この点、私的使用とは、個人的使用、家庭内での使用、その他これに準ずる限られた範囲内に於ける使用と定められており、裁判例上、企業等の団体が業務のために行うコピーは、私的使用ではないとされています。

出典 : 法律何でも相談「社内会議で文献のコピーを使いたいのですが、何か問題はありますか。」

社内会議の資料として、新聞記事や雑誌の切り抜きを使用する場合には注意が必要です。

ただし、「引用」の範囲内であれば無断で使用しても構わないので、たとえば、社内新聞で雑誌の切り抜きを使用し、その他の部分(自分たちで作成した分析など)が多い場合など、「引用」の諸要件を満たしているようなら、著作権的に問題ないと言えるでしょう。

以上、新聞記事や雑誌のSNSアップや切り抜きに当たっての著作権でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

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