スマホの待ち受け(壁紙)と著作権
ツイッターやインスタなどSNSに挙がっている写真、あるいはネット上にあるおしゃれなイラストのような画像を、自分のスマホに保存し、スマホの待ち受け画面にしたい、パソコンの壁紙に設定したい、と思うこともあるのではないでしょうか。
この場合、著作権的には、何か問題にはならないかと、不安になるかもしれません。
あらゆる作品は、その作品が公開された時点で著作権が発生し、無断で勝手に使用してはいけない、というルールが定められています。
そのルールにのっとれば、SNSを含めたネット上にアップされた写真やイラストも著作権が発生し、無断でスマホの待ち受け画面や壁紙に設定するのは、著作権の侵害に当たるのではないか、と心配になります。
しかし、ネット上の画像をスマホの待ち受けやパソコンの壁紙に設定するのは、実は著作権的に問題はありません。
理由は、著作権の例外として、「私的使用」が許されている点にあります。「私的使用」の範囲は、「個人的に、又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」とあります。
要は、自分や家族、また近しい友人(この範囲は議論がある)のあいだでは、自由に著作物を使用してもよい、ということになります。
一体なぜ、このような例外があるのでしょうか。
もし、この「私的使用」が許されなければ、家族間でビデオを録画して一緒に観たり、音楽CDをiPhoneに入れて聴く、といったことまで「著作権侵害」として制限されてしまいます。
著作権は、本来文化の発展のために存在し、その一つとして作品を著作物として保護することで、著作権者である表現者の利益を守る、という目的があります。
しかし、この制限を過剰に厳しくすれば、むしろ文化の発展が阻害され、逆効果に陥り、本末転倒となります。
この辺りは、新しいテクノロジーの登場などとともに著作権のあり方も変化の必要性や柔軟性が問われるでしょう。
ちなみに、「私的使用」の条件として、以下の項目が挙げられます。
- 仕事以外の目的であること
- 使用する本人が複製(コピー)すること
- コピーガードを解除する、または解除されていることを知っていながらコピーするものではないこと
- 著作権を侵害したインターネット配信(違法配信)であることを知りながら音楽や映像をダウンロードするものではないこと
- 誰でも自由に利用できるダビング機械などを利用しないこと
- 映画の盗撮ではないこと
いずれにせよ、他人の著作物であっても、スマホの待ち受け画面などに設定することは問題ありません。
ツイッターなどで、ときどきイラストレーターさんに許可を取っている方を見かけます。マナーとしては素敵な振る舞いだと思いますが、著作権的には基本的に無断で行なっても構いません。
ただ、ネットで共有されるビデオ会議の際の背景やアイコンなどは、厳密に見れば、著作権の問題に該当します。
スマホのスクショ問題
余談ですが、先ほど挙げた条件にもあるように、違法アップロードされた「映画」や「音楽」を、違法と知りながらダウンロードした場合は、私的使用でも違法となります。
加えて、昨今問題になっているのが、「映画」や「音楽」だけでなく、「静止画」や「テキスト」も禁止にしよう、という動きです。
一見すると、厳しく取り締まったほうがいいように思えますが、ネット上には、適法か違法かは分からない静止画(写真やイラスト含む)やテキストが無数に転がっています。
たとえば、名言botのようなツイッターのツイートも、場合によっては、著作権侵害に該当しかねません。また、二次創作も、番組のキャプチャも同様です。こうしたツイートや画像を、仮にスマホでスクショした場合(スクショも保存行為なので)違法になる、ということになります。
私的使用について、スクショまで問題にすべきではない、あらゆる面で萎縮が強まる、という反対意見も多く、いったんは保留となっていますが、今後の展開はまだ分かっていません。
以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。
デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。