星の王子さまのイラストの著作権と青空文庫
サン・テグジュペリの代表作『星の王子さま』は、大人から子供まで愛される童話小説です。
1943年にアメリカで出版され、200以上の国と地域で翻訳、世界中で総販売部数1億5千万冊を超えた不朽の名作として知られています。
初めて読んだのがいつだったかは忘れましたが、『星の王子さま』は、大人になってからも、ふと手にとって読みたくなる作品です。
作者のサン・テグジュペリは、1900年に生まれ、1944年に亡くなる、フランス人作家・操縦士です。
また、『星の王子さま』のなかには、挿絵として可愛いイラストも入っていますが、このイラストもサン・テグジュペリ自身が描いています。
通常、作品の著作権は、作者の死後50年(現在の日本の法律では70年)で著作権切れになります。
戦時加算も含めると、岩波書店によれば日本では2005年にサン・テグジュペリ作品の著作権が切れ、自由に翻訳が可能になったことから、その頃、数々の『星の王子さま』の新訳が出版されます。
タイトルは、日本では『星の王子さま』が主流ですが、フランス語の原題は『Le Petit Prince(英語『The Little Prince』)で、正確な翻訳は『小さな王子さま』になり、このタイトルで出版された新訳もあります(『星の王子さま』というタイトルの名付け親は、岩波版翻訳者の内藤濯さんです)。
また、作品だけでなく、先ほども触れたように、イラスト(挿絵)もサン・テグジュペリが描いているので、イラストも著作権切れし、絵を自由に使用することができます。
自由に使用できるということはフリー素材として使っていい、ということになります。
たとえば、ツイッターやインスタなどSNSのアイコンに『星の王子さま』のイラストを使用してもよく、サイトに作品を掲載しても構いません。
ただ、注意点が二つあります。
一つは、コラボや改変に当たっては原作ファンの心情もあり、商標権や同一性保持権の問題も生じる場合があるという点です。
ファン心理も、商標権の問題も、複雑なものがあるので、イラストを商用利用しようと思ったら、改変に注意したり商標登録などを調べたほうがよいでしょう。
>>「星の王子さま」コラボ商品、権利侵害の批判受け2日で販売終了…本当に法的問題はあった?
もう一つは、著作権切れと言っても、あくまで「原作」の著作権切れであり、翻訳家の著作権はまだ切れていないので、翻訳版を無断転載することはできません。
しかし、著作権切れした文学作品を無料で掲載している青空文庫には、『星の王子さま』の日本語訳もあります。
翻訳版がまだ掲載できないのに、なぜ青空文庫に『星の王子さま』があるのでしょうか。
これは、原作をもとにした「新訳」で、翻訳家の大久保ゆうさんが翻訳した『あのときの王子くん』だからです。
原作とイラストは使用可能なので、新しく翻訳し、青空文庫で公開しているようです。
以上、『星の王子さま』のイラストの著作権と青空文庫でした。
以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。
デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。