手紙やメール、LINEの著作権
作品やYouTubeなど、公表したものに著作権が発生することは想像しやすいかもしれませんが、プライベートのメッセージ、たとえば手紙やラブレター、メールやLINEには著作権は発生しないのでしょうか。
また、手紙やメールの中身を、他人が無断で公開した場合に「著作権侵害」には当たらないのでしょうか。
結論から言うと、手紙やラブレター、メールやLINEも、著作物となる可能性があり、勝手に公開すれば著作権侵害に当たります。
ただし、著作物の定義は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。
同じ手紙でも、ありふれた挨拶だけなら著作権は発生しません。
しかし、思想や感情が表現されているものなら、手紙も立派な著作物になりますし、ラブレターに限っては、感情が表現される手紙の際たるものと言えるので、当然著作物と言えるでしょう。
そのため、感情の入った手紙やラブレターの文面をSNS上に無断でアップする行為は、著作権の観点から言えば「著作権侵害」となります。
また、著作権だけでなく、プライバシー権の侵害の観点からも見てみる必要があるでしょう。
裁判所は、プライバシーの侵害について以下のような基準を立てています。
- 私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること
- 一般人の感受性を基準として当事者の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるべき事柄であること
- 一般の人にまだ知られていない事柄であること
- このような公開によって当該私人が現実に不快や不安の念を覚えたこと
手紙やラブレターの公開については、この四つの基準を考慮し、もしプライバシー権の侵害となった場合には、被害を被った側(手紙やラブレターの執筆者)は、画像の削除や損害賠償請求を求められると考えられています。
当事者が望んでいないにも関わらず、他人には知られていない私生活上の事柄を暴露され、不安を感じることがあればプライバシーの侵害にあたると判断される。プライバシーとは、他人には知られたくないその人固有の秘密といってよいだろう。
次に、メールやLINEのメッセージに著作権は発生するのでしょうか。
メールやLINEのメッセージも、手紙やラブレターと同じように、あくまで著作物の定義を満たしているものは著作権が発生します。
言い換えれば、「おはよう」という挨拶程度のLINEであれば著作権は発生しません。
仮に、恋人からの「おはよう」のLINEのスクショを、SNS上にアップしても、少なくとも著作権の侵害には当たりませんが、内容によっては著作権侵害やプライバシー権の侵害に当たるかもしれません。
手紙やラブレター、メールやLINEなどのなかで、著作物と思われるものが無断で公開された場合、当事者は、公開差し止めの請求や損害賠償、また名誉回復のための措置を求めることができます。
引用はできるか
一方、著作権上、「引用」は許されることになっています。
引用とは、複数の条件を守れば、文章の一部を本人に許可を取ることなく使用することができる仕組みです。
たとえば、誰かの文学作品に関し、この部分が変だ、この一節が素晴らしい、と批評する際、実際の文章を引用したほうがわかりやすいですし、引用が許されなければ、自由な批評空間も育ちません。
そのため、「引用」という制度は、著作権を考えるにあたって、とても重要です。
それでは、手紙やLINE、メールなどプライベートな文章は「引用」できるのでしょうか。
手紙やメールといった個人宛のものは、「引用」はできません。
理由は、引用の条件として、「公表された著作物」という前提があり、手紙やメール、LINEなどは、著作物だったとしても「公表された著作物」ではないからです。
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