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知的財産権

東京タワーやスカイツリーなど建物の著作権

東京タワーやスカイツリーなど建物の著作権

画像 : 東京タワー(Unsplash)

東京に観光に行き、東京タワーや東京スカイツリーなどの建物の写真を撮り、その写真をツイッターやインスタグラムといったSNSにアップする際、著作権の問題が気になる、という方もいるかもしれません。

まず、一般的な建造物については、著作物の定義である思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものに該当しないので、写真に入っても著作権法上問題はありません。

一方で、創造的な作品と呼ぶべき建物には、著作権が発生します。

創造的、美術的な建造物は、それ自体が絵画などの美術品と同じように著作権が発生します。

出典 :木村剛大他『クリエイターのための権利の本』

確かに、有名な建築家が手がけた建物は、それ自体が一つの作品と言えるでしょう(ただし、実際「建築の著作物」の定義自体はありません)。

ちなみに、東京タワーの設計士は内藤多仲さん、東京スカイツリーの意匠設計には土屋哲夫さんという建築士が携わっているようです。

さて、それでは、東京タワーや東京スカイツリーが、仮に著作物と判断された場合、写真を撮影したり、SNS上にアップすることは、著作権侵害に当たるのでしょうか。

基本的には、特に問題ありません

著作権法では、一般人が行動に制約がかかりすぎないように、屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は,方法を問わず利用できるとあります。

ただ、例外として、以下のケースを除きます。

〈公開の美術の著作物等の利用の例外〉

  • (1)彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
  • (2)建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
  • (3)屋外に恒常的に設置するために複製すること。
  • (4)もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

出典 : 著作物が自由に使える場合|文化庁

この「建築の著作物を建築として複製」というのは、東京タワーやスカイツリーを、そのまま複製する、という話なので、写真撮影などとは一切関係ないと言えるでしょう。

ミニチュアの模型であっても、著作権法上は(商用利用でも)問題ありません。

こういった著作権法の保護を受ける建築物について,著作権法は,建築して複製する場合を除き,方法の如何を問わず,自由に利用することができるとしている(著作権法46条2号)。

建築物の模型を作るということは,建築物そのものを建築することではないので,従って,それは,自由利用の範囲内にあり,何ら著作権を侵害することにならないということになる。

出典 : 『建築物の模型販売~著作権法上の問題はないのか~』

ただし、〈4〉の「もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。」の解釈は難しく、東京タワーやスカイツリーなどを著作物だとした場合、メインとして写真撮影し、販売する行為については、問題が生じるかもしれません。

たとえば、東京タワーをメインに撮った東京タワーカレンダーを販売しようとしたら、許可が必要になる、ということになるでしょう。

中山信弘氏の『著作権法第2版』によると、美術の著作物と評価できる建築物は、この条文が適用できるようだ(369ページ参照)。つまり、絵葉書やカレンダーなど「販売を目的」として利用する場合は、著作権者の許諾が必要なのだ。つまり恐らく、東京タワーや東京スカイツリーは、美術の著作物であると主張しているのだ。

なお、仮に東京タワーや東京スカイツリーが美術の著作物として認められたとしても、たとえば販促品など販売目的がない場合には、営利目的であっても自由に利用できる。また、「専ら」という条件も付いているので、写真の背景に映り込んでいるだけの場合や、観賞目的ではない本や雑誌に掲載するのは、自由だ。

だから少なくとも、単純に「商用利用で東京タワーを勝手に写真に撮っちゃいけない」わけではない、ということは頭に入れておいたほうがいいだろう。商用利用すべてがダメ、というわけではないのだ。

出典 : 商用利用で東京タワーを勝手に写真に撮っちゃいけないのはなぜ?

東京タワーの写った写真を販売する場合、その表現に注意したほうがよいでしょう。

それから、名称やロゴ、シルエットなどが商標登録されている場合があるので、その辺りも注意が必要です。

東京タワーや東京スカイツリーなど、ランドマークになっている建築物のイラストなどに関しては、商標がどうなっているのかは、確認したほうがよいでしょう。

いずれにせよ、著作権の視点から言えば、写真を撮影し、SNSにアップするなどは基本自由であり、また、商用利用する形で撮影する場合も、メインとして撮っているのではないかぎりは、許容されるのではないかと思います。

この辺りは、建築物によって判断も分かれるようなので、心配なようでしたら専門家に相談したり、建築物のホームページを確認してみましょう。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

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