翻訳と著作権
翻訳本の話
著作権が切れ、自由に利用できるようになるには、一定の期間が必要で、その期間というのが、著作者の死後50年(現在は70年)となっています。
そのため、著作権切れの作品を集めたサービス「青空文庫」も、死後50年(70年)経った作者の作品が揃っています。
ただし、この青空文庫には、海外の小説が少ない傾向にあります。
その理由として、翻訳本の著作権の問題が挙げられます。
著作権は、原著者だけでなく、翻訳者にも発生し、仮に原著者が没後ずいぶんと経ち、著作権が切れていても、翻訳者の著作権が切れていないという場合があります。
たとえば、『星の王子さま』の作者サン・テグジュペリは1944年に亡くなり、著作権は切れています。
今も、数多くの翻訳本や新訳が出版されていますが、翻訳者の著作権は切れていないので、そのまま青空文庫に掲載するわけにはいきません。
翻訳された本は二次的著作物という、著作物をもとに新たに作られた著作物となります。翻訳本には、原作の著者の権利とは別に、翻訳者の権利が認められています。
原作の著作権が切れていても、翻訳者には二次的著作物の著作者として著作権が認められているため、翻訳本の著作権は翻訳者の死後50年まで保護されることになります。
ただし、『星の王子さま』がそうであるように、原著の著作権は切れているので、新しく自分で翻訳して公開することは可能です。
青空文庫でも、フリーランスの翻訳家の方が訳した新訳『あのときの王子くん』として公開されています。
翻訳そのものの話
一方、翻訳をすることそのものの著作権の問題はどうなっているのでしょうか。
著作権が切れていない海外の文学や映像作品を勝手に翻訳し、ブログに公開したり販売する行為は、著作権侵害に当たるのでしょうか。
これは、営利目的か否かに関わらず、著作権侵害に該当します。
過去には、実際に海外の映画作品を無断翻訳し、字幕データをネット上に公開したことで逮捕されたケースもあります。
日本未公開の海外映画のセリフを勝手に日本語に訳し、字幕データをネット上に公開したなどとして、東京都内の50代男性が7月上旬、著作権法違反の疑いで京都府警サイバー犯罪対策課に逮捕された。
報道によると、男性は2015年5〜6月、著作権を保有するアメリカの映画会社の許可を得ずに、日本未公開の映画「ポルターガイスト」の音声を日本語に訳し、字幕を作成したうえ、そのデータをネット上に公開した疑いが持たれている。
この場合、映像は使っていなかったことから、映画の著作権ではなく、脚本の著作権侵害として問題となったようです。
以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。
デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。