パクツイと著作権
パクツイの意味とは
ツイッターの世界では、「パクツイ」という言葉を使用されることがあります。
パクツイとは、パクリツイート、すなわち他人の発信したツイートをそのままパクってツイートすることでいいねやリツイートを稼ごうとすることを意味します。
パクツイの悪質な点は、他人のツイートを、まるで自分のオリジナルであるかのように呟くことです。
なぜパクツイをするのかと言うと、理由は単純で、誰かが過去にツイートして話題になったツイートを、自分発信で再びツイート(パクツイ)すれば、そのひとが発信者として話題になります。
話題になれば、フォロワー数を稼ぐこともできます。
パクツイをするひとには、こうした狙いが隠されていることは多いでしょう。
パクツイは著作権法侵害か
それでは、パクツイは違法にはならないのでしょうか。
結論から言えば、明らかに「盗用」であり、著作権侵害に当たります。
ツイートは、確かに文字数が短いですが、「著作物」の定義に文字数は含まれません。
文字数が少なくても、たとえば短歌(31文字)や俳句(17文字)も立派な著作物です。
著作物の定義
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」
この定義に当てはまるかぎり、ツイートも著作物になり、著作権が発生します。
著作権は、特に登録が必要なわけではなく、公表した瞬間(ツイッターの場合はツイートした瞬間)に自動的に発生します。
ツイートしたアカウントのひとが著作権を持つということになり、誰かが勝手にパクツイすれば、それは著作権の侵害になります。
ただし、注意点があります。
あくまで著作権が発生するのは、「創作的な表現」に限ります。「おはよう」や「昼ごはんが美味しかった」といった日常的な発言は著作物にはなりません。
繰り返しになりますが、著作物の定義に当てはまるツイートの「パクツイ」は著作権侵害になります。
対処法としては、本人にリプライやDMで警告するか、ツイッターの著作権侵害の申告を行う必要があります。
ツイッターと著作権
少しパクツイからは話が逸れますが、ツイッターの規約では、実はある種の「無断転載」が認められています。
それは「埋め込み機能」を利用した転載です。
このブログに、たとえば誰かのツイートを勝手に埋め込み機能を使って転載することは、ツイッターの規約上許された行為です。
逆に言えば、そういうことを予め理解した上でツイートをしましょう、ということになります。
また、著作権法上では、「引用」の条件に当てはまれば著作者に無断で転載することが可能となっています。
ざっくりまとめると、以下の条件が必要になります。
①公表された著作物であること。
②“引用”であること。⑴どこからどこまでが引用か区別されていること。⑵自分の文章が「主」で、引用部分が「従」であること。
③分量など正当な範囲内。
④出典の明示。
⑤改変の禁止。
なぜ引用なら無断転載が可なのでしょうか。
そのいちばんの目的は、文化の発展に寄与する、ということが挙げられるでしょう。
たとえば、ある絵や文章を批評するのに、その絵や文章もあったほうが読者も分かりやすくなります。
あるいは、自分の伝えたいことを補足する意味で誰かの文章の一節を引用することによって説得力が増す、という効果もあるでしょう。
一切引用を禁止し、オリジナルの文章だけで構成することは、決して文化の発展に繋がるとは言えません。
こうした理由から、合法的な無断転載として、引用があります。
まとめ
最後に、簡単にまとめると、出典のない「パクツイ」は著作権法に違反する著作権侵害です。
厳密には、出典(誰がツイートしたか)が記載されていても、掲載されているのがそのパクツイのみであれば著作権侵害です。
この理屈で言うと、小説の一節を写真にとってツイートするのも著作権侵害です。
でも、著者や出版社からすれば、簡単な感想をもらったり宣伝になるので特に訴えない、という暗黙の了解で成り立っている部分もあります。
同じように、パクツイも、出典さえ記載してくれれば許す、というひともいれば、出典がついていても嫌だ、というひともいるでしょう。
この辺りは、人それぞれで違ってきます。
もう一点、細かく言うとパクツイで微妙なラインなのが、中身は似ていても表現の仕方が違う場合です。
著作権は、具体的に「表現したもの」に関連し、アイディアには発生しない、というのが主流の考え方です。
単に,
両者が 「アイデア」 や 「コンセプト」 のレベルで共通している, というだけではなく, 具体的な 「表現」 のレベルで共通していて初めて, 著作権侵害となりうる。
最後に、パクツイではありませんが、無断転載が許される場合があります。
①ツイッターの埋め込み機能を使用している場合(リツイートも、著作権侵害にはなりません)。
②引用の条件に合致している場合。
この場合は、合法的に許される「転載」です。
以上、ツイッターおよびパクツイと著作権でした。
境界線が曖昧で、色々とグレーな領域があるのが著作権です。
しかし、そのグレーをきっぱり白黒つけていくと「パロディ」も許されず、窮屈な社会になり、文化を守るための著作権によって逆に押しつぶしてしまうことになりかねません。
バランスが大切であると言えるでしょう。
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デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。