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知的財産権

絵本や童話の朗読、読み聞かせと著作権

絵本や童話の朗読、読み聞かせと著作権

絵本の読み聞かせと言うと、両親や幼稚園の先生が行ってくれた記憶のある方もいるかもしれません。

また、今お父さんお母さんになって我が子に絵本を読んで聞かせてあげる、というひとも多いでしょう。

私が子供の頃に読んだ絵本では、『ぐりとぐら』や、『バーバパパ』などが懐かしく思い出されます。

特に『ぐりとぐら』は、母親が読み聞かせてくれたときの「ぐりぐら、ぐりぐら」という声のリズムまで覚えています。

さて、この絵本の読み聞かせや童話の朗読ですが、最近はYouTubeなどで動画をアップしている方もいるようです。

今回は、この絵本の読み聞かせ動画が、果たして著作権侵害かどうか、という点について考えてみたいと思います。

動画の内容は

まず、アップされている動画の内容は、絵本の物語を全文朗読し、映像には挿絵が順番に流れる、という形になっているようです。

その絵本が好きで、もしかしたら自分の子供だけでなく別の子供でも利用できるように、という気持ちもあるのかもしれません。

しかし、結論から言えば、これは「著作権侵害」になります。

YouTubeで広告が入っている商用利用はもちろん、ツイッターやインスタグラムのようなSNSなどにアップする非商用利用も含め、著作権法違反になるので注意が必要です。

著作物とは、以下のものを指します。

思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの(著作権法第2条第1項第1号)

絵本も、立派な著作物であり、絵にしても、物語にしても、無断で利用することはできません(「引用」の条件に合致すれば可能です)。

>>ブログで活用「引用」の方法

著作権侵害は、基本的には著作権者本人の告訴が必要な親告罪であり、二次創作など、ある程度文化の発展なども考慮して黙認されているケースもありますが、この絵本の読み聞かせの場合、出版社の反応はどういったものなのでしょうか。

絵本『だるまさん』や『くまのがっこう』シリーズを扱うブロンズ新社の担当者の方は、読み聞かせ動画や、メルカリでの海賊版グッズの販売について次のようにコメントしています。

読者の皆さんに愛していただいているのはありがたいですし、あまり細かく言うのは、という気持ちもあったのですが、正直ここまでひどい状況とは思っていませんでした。

出典 :「好きだから」こそ思いとどまって。“愛ある”著作権侵害に悩む、絵本出版社の嘆き

この「あまり細かく言うのは」という一言にもあるように、厳密に著作権侵害を定義すれば、SNSで「この絵本がおすすめ」と本の写真を載せることも侵害になります。

細かく細かく指摘すれば、逆に窮屈になり、本来の目的である文化の育成を阻害することにもなりかねません。

また、作者や出版社によっても、どの程度許容するか(自分の名前で発表する、いわゆる「パクる」のは論外です)に幅があり、この辺りはネット文化の発展とともに今後も議論が必要になっていくでしょう。

ただ、それでも今YouTubeに挙がっているように絵本の挿絵を全部載せ、物語も全編朗読する(さらに広告収入も得ている)というのは、明らかにやりすぎでしょう。

著作権に詳しい虎ノ門総合法律事務所の雪丸真吾弁護士も次のように指摘します。

読み聞かせ動画の場合、絵の部分を写す場合はもちろん、文章の読み上げのみでも、公衆送信権侵害(23条1項)により著作権侵害となります。民事上は著作権者から差止請求・損害賠償請求がなされますし、刑事上は10年以下の懲役・1000万円以下の罰金刑(119条1項)もあります。

出典 :「好きだから」こそ思いとどまって。“愛ある”著作権侵害に悩む、絵本出版社の嘆

作品の宣伝になるし、よかれと思って行っている、という方もいるかもしれませんが、著作権者が存在する以上、著作権侵害になるので注意しましょう。

ただし、著作権は作者の死後50年(2018年12月30日から70年に変更になりましたが、変更以前は50年のまま)で著作権切れになります。

著作権が切れた作品なら、朗読や読み聞かせも問題ありません。

たとえば、童話で言えば、宮沢賢治などは、亡くなったのが1933年なので、『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』の朗読を行って動画でアップしても著作権侵害に当たりません。

その他、著作権切れの童話に関しては、無料で著作権切れの作品が読める「青空文庫」も参考になります。

以上、絵本や童話の朗読、読み聞かせと著作権でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。