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インスタグラムと著作権、本の紹介は違法か
若者のあいだでだけでなく、大人や企業でも一般的に使用されるようになった写真共有サイトとして、Instagramがあります。
写真が作品である以上、ブログやツイッターと同じように、このインスタグラムでも「著作権」の問題は絡んできます。
著作権とは、思想や感情が表現された「著作物(美術や音楽、文学など)」を対象とした権利を言います。
著作権は、登録制ではなく、作者が著作物を発表した瞬間に発生します。
インスタグラムの場合で言えば、自分の撮影した写真をインスタにアップした瞬間、写真は「著作物」であり、撮影者が「著作者」になります。
そのため、もし誰かが勝手にあなたのアップした写真を他の場所で公開(無断転載)していたら、それは「著作権侵害」に当たります。
違法な無断転載、合法の無断転載
著作権の問題で、しばしば、「無断転載」という言葉が使用されます。
無断転載とは、文字通り、著作者に無断で別の場所に転載することです。
たとえば、インスタグラムにアップした写真を、別の誰かがツイッターのアイコンに無断で使ったり、自分のアカウントで、さも自分が撮影したように人の写真をアップする、といった行為が、いわゆる「無断転載」です。
また、作者名の記載があっても、無断転載は、著作権上アウトです。
今挙げたような「無断転載」は、分かりやすく違法であり、著作権侵害に当たります。
著作権侵害に対する対処法は後々触れるとして、一方、「合法」の無断転載も存在します。
合法的な無断転載ができるケースの一つ目は「埋め込み機能」、もう一つは「引用」に当たる場合の二点です。
埋め込み
インスタやツイッター、フェイスブックなどのSNSには、標準機能としてシェアや埋め込み機能が搭載されています。
インスタグラムの埋め込みの場合、パソコン(ブラウザ)で開いた写真の右上の「…」をクリックすると、「埋め込み」という項目が表示されます。
その後、「埋め込みコードをコピー」をクリックし、ブログに貼り付けると、その写真を投稿者名と一緒に埋め込むことができます。
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その他、インスタの写真を、ツイッターやフェイスブックにシェアすることも可能です。
ブログに埋め込むというのも、基本的にこのシェアと同じ形です。そもそもSNSは、「シェアされる」ということを前提にしたサービスなので、こういう形の「無断転載(正確には転載とは言えないかもしれませんが)」は、サービス利用時に最初から了承されるものとして考えるようにしたほうがよいでしょう。
もう一つ、合法的な「無断転載」の方法としては、「引用」という手法があります。
引用の条件を満たしていれば、著作者に無断で著作物を掲載しても著作権法上構いません。
引用の条件は、大まかに以下の5つになります。
①公表された著作物であること。
②“引用”であること。⑴どこからどこまでが引用か区別されていること。⑵自分の文章が「主」で、引用部分が「従」であること。
③分量など正当な範囲内。
④出典の明示。
⑤改変の禁止。
引用の条件については、漫画で考えると分かりやすいかもしれません。
ある漫画の論評をする際、漫画を全部掲載すれば、それは「正当な範囲内」とは言えませんし、自分の文章(漫画の論評)が「主」で漫画が「従」とも言えません。
はっきりとした基準があるわけではありませんが、漫画で言えば、せいぜい一ページ、二ページ、あるいは、数コマほどではないでしょうか。
いずれにせよ、「引用」の基準を満たしていれば、著作物を「無断転載」することができます(これは作品の論評や批判などが自由に行えるための制度で、文化の発展にも繋がると考えられるからです)。
もし、他人のインスタの写真をブログなどで使用したい場合は、「埋め込み機能」を利用し、あるいは、「引用」の条件を満たすようにすれば、著作権の問題はだいぶクリアになります。
*ただし、その写真自体がもともと誰かの著作権を侵害したものの場合は注意しましょう。
ツイッターやインスタグラムで本の紹介は違法か
また、「グレー」としては、埋め込みやリポストでもなく、引用でもなく、出典は明示されている、という場合です。
たとえば、本の一節を写真に撮ってインスタグラムにアップする。一応、作者の名前も表示されている。
こうした場合も、法律上、厳密に言えば「著作権侵害」に当たります。
あるいは、本や雑誌の表紙を、ツイッターやインスタでアップし、本の紹介をしている場合もあります。
たとえば、表紙が見えるように本を机の上に置き、写真を撮影し、内容の紹介や感想とともに掲載する。
その場合は、著作権的に問題が生じるでしょうか。
表紙のデザインなどにも、著作権は発生するので、厳密に言えば、著作権侵害で、違法ということが言えるでしょう。
ただ、添えている文章によっては、「引用」に当たるかもしれませんし、背景の一部のようにして映り込んでいる程度なら許容されるのではないかと考えられます。
この辺りの境界線は、非常に難しいラインになります。
ただ、よほど悪質なケースでないかぎりは、出版社や作者も放置しているのが一般的となっています。
そもそも一定の要件以外では、著作権は親告罪なので、著作権を侵害された当事者しか申し立てをすることはできず、勝手に他の誰かがクレームを言ったり訴えることはできません。
当事者としては、一つ一つを個別に対応するのも労力がかかりますし、自分の作品の一部や表紙を写真に撮られ、「よかった」「感動した」と載せるのを嫌がる作者もなかなかいないでしょう。
企業側にとっても宣伝になりますし、作者にとっても大事なファンでもあります。
細かくアウトかセーフかと尋ねれば、アウトと言わざるを得ないような微妙なラインでは、黙認している、という場合も多いのではないでしょうか。
そのため、同じ著作権違反でも、「まるで自分が著作者であるように」アップする場合と、誰の作品か出典が載っている(あるいは、紹介や感想が綴られている)場合とでは、必ずしもケースが同じとは言えません。
とは言え、嫌な人は嫌なので、許可がとれるようなら許可をとるなど、ケースバイケースになるでしょう。
個人的には、表紙の写った写真を、紹介や感想を添えてSNSに投稿することまで著作権で違法扱いすると、だいぶ窮屈で、そもそもの目的であったはずの文化の発展という部分も、置き去りにされているような気がします。
いずれにせよ、バランスの難しい問題と言えるでしょう。
インスタで著作権侵害された際の対処法
それでは、自分がインスタグラムにアップした写真が違法に無断転載され、著作権を侵害された場合、一体どんな対処法が考えられるでしょうか。
一つは、本人への警告です。直接メッセージなどで伝えるようにしましょう。
著作権侵害の報告を提出する前に、問題のコンテンツを投稿した人物にメッセージを送信することもできます。Instagramに連絡することなく、問題を解決できる場合があります。
もう一つの対処法としては、プラットフォーム(インスタの場合は、インスタグラム、ツイッターならツイッター)側に著作権侵害による削除の申告を願い出ることができます。
インスタの写真右上の「…」から、「不適切な写真を報告」を選択し、「知的財産の侵害」に進み、運営側に報告しましょう。
ツイッターで著作権侵害があった場合は、こちらから報告できます。
さらに悪質な著作権侵害が続くようなら、弁護士に相談するのも一つです。
その場合は、知財に詳しい弁護士知財ネットや弁護士ドットコムに相談するとよいでしょう。
画像 :『クリエイターのための権利の本』
画面キャプチャなどを活用し、証拠の確保もしておきましょう。
以上、インスタグラムと著作権でした。
以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。
デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。