MEMORIBA
著作権

ネタバレと著作権

ブログやツイッターで発信される「ネタバレ」は、違法ではないのでしょうか。また海賊版サイトとの違いは? ネタバレと著作権侵害の関係性について解説します。

映画や漫画の「ネタバレ」は犯罪(著作権侵害)?

まだ公開中の映画や発売したばかりの漫画の内容をネット上に公開する「ネタバレ」行為。

作品のネタバレ情報を発信する場所は、ツイッターやインスタグラムのようなSNSであったりネット掲示板や、ブログの記事で詳細な内容を書く場合などがあるでしょう。

これから作品を見ようと楽しみにしているひとにとっては、「ネタバレ」を吹聴するのは絶対に許せない行為かもしれません。

マナー上の問題は別として、そもそもネタバレは法律上、著作権法などに違反する違法行為に当たりはしないのでしょうか。

弁護士の梅澤康二さんによれば、「そのようなケースでのネタバレを罪に問うことは一切できません」と言います(出典 : 大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!)。

ネタバレは、著作権の侵害(違法)には当たらない、とのこと。

しかし、最近、漫画の「ネタバレ」サイトの運営者が逮捕された、という報道を耳にするようになりました。

人気漫画の画像を発売前にネット上に掲載したとして、男ら5人が逮捕されました。

沖縄県の自称・自営業の上原暢容疑者(30)ら3人は、週刊少年ジャンプに連載されている人気漫画「ワンピース」などを漫画発売前にネット上のサイト、いわゆるネタバレサイトに掲載した著作権法違反の疑いが持たれています。

警察によりますと、上原容疑者らは、サイトの運営で約7400万円の広告収入を不法に得ていたとみられていて、容疑を認めています。いわゆる漫画ネタバレサイトの検挙は全国で初めてです。

出典 : テレビ朝日系(ANN)「人気漫画の画像を発売前にネット掲載 男ら5人逮捕」

こうした漫画の「ネタバレサイト」の運営者が逮捕された事件以外にも、漫画(他人の著作物)の画像や文字情報をYouTubeにアップする行為も違法である、という判断が下されています。

小学館は28日、著作権者に無断でYouTube上に漫画『闇金ウシジマくん』(『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中、以下、「本件作品」)の画像や文字情報をアップロード(投稿)する行為が著作権侵害にあたるとして、27日に東京地裁がYouTube社(本社・米カリフォルニア州)に対し、投稿者の発信者情報の開示を命じる仮処分を決定したと発表した。漫画そのものだけでなく、文字だけを抜き出す投稿の違法性も認定した形となる。

出典 : 漫画・ネタバレ動画 東京地裁がYouTubeに発信者情報の開示命じる。文字だけの抜き出しも“違法“|HUFFPOST

一体なぜ「ネタバレ」は著作権法の違反ではない(合法)のに、「ネタバレサイト」は犯罪(違法)として摘発されるのでしょうか。

ネタバレの境界線、「海賊版」サイトとの違いとは

報道では、「ネタバレサイト」という風にひとくくりにされていますが、この「ネタバレサイト」と「海賊版サイト」は厳密には違います。

両者は、重なっている部分もありますが、微妙に違いがあり、「ネタバレサイト」のほうがより広い意味を持ちます。

海賊版は、たとえば漫画なら漫画を、そのまま写真に撮るなどして複製し、ネット上に公開したり販売することです。

一方、ネタバレは、文字通り「ネタ」が「バレる」ような情報を掲載することを指します。

「海賊版」・・・作品を複製し、そのまま転載ないしは販売すること。

「ネタバレ」・・・作品をそのまま転載する海賊版もネタバレと言えばネタバレですが、作品の内容やオチを自分の言葉で語ることもネタバレに含まれます。

海賊版サイトは、著作権侵害(違法)になります。

一方、ネタバレサイトの場合、「海賊版」は違法ですが、「自分の言葉」で作品の起承転結や流れ、オチを語る場合など、そのネタバレについては著作権法上の違法行為には問われません。

理由としては、著作権によって守られるのは、作品そのものであり、作品の「アイデア」ではないからです。

先ほどの梅澤弁護士は、次のように解説しています。

ネタバレ記事内にアップロードした画像が著作権で保護されるものであれば、違法となる可能性はあります。他方、書籍・漫画のストーリーを自分の言葉で表現する行為は違法ではなく、刑事はもちろん、民事の責任を問われることもありません。

書籍・漫画の公開で責任を問われるのは基本的には著作権を侵害した場合ですが、著作権で保護されるのは書籍・漫画の表現行為です(文章とか画像などの表現)。

ストーリーの内容は情報としての価値はあるかもしれませんが、その内容・アイデアには著作権はありません(著作権はあくまで著作物の表現それ自体を保護するものなので、表現の中身(内容)には保護は及びません)。

出典 : 大声でネタバレを叫ぶのは犯罪か?弁護士に聞いてみた!

そのため、「ネタバレサイト」が摘発されたからと言って、ブログやツイッター、インスタグラムでネタバレをしたひとも端から著作権侵害だ、というわけではないというのは重要なポイントでしょう。

もちろん、マナー違反の問題はあるので、ブログの場合などには、あらかじめ「ネタバレあり」と表記したほうがよいかもしれません。

また、ブログで実際の漫画や小説など作品の一部をそのままの形で掲載するとしても、「引用の条件」に合致していれば、そのネタバレも、「合法的」で正当な行為になります。

以上、ネタバレと著作権の関係性でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。