人もをし人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆゑに物思ふ身は
現代語訳
人がいとおしくもあり、恨めしくもある。この世をどうにもならないものと思うがゆえに、あれこれ思い悩む我が身にとっては。
語釈
- をし
- いとおしい。
- 恨めし
- 恨めしい。
- あぢきなく
- どうにもならず。思うにまかせず。
- 物思ふ身
- あれこれ思い悩む我が身。
背景と読みどころ
人がいとおしくもあり、恨めしくもある。相反する気持ちを並べたまま、どちらにも決めていない。
承久の乱よりも前に詠まれた歌である。人を思うようにできない立場にいる者の、行き場のなさが出ている。
『続後撰和歌集』の雑の部に載る。
作者
後鳥羽院(一一八〇〜一二三九)。『新古今和歌集』の編纂を自ら進めた。承久の乱に敗れて隠岐へ流され、その地で亡くなった。