風そよぐならの小川の夕暮は みそぎぞ夏のしるしなりける
現代語訳
楢の葉に風がそよぐ、ならの小川の夕暮れ。もう秋のようだが、みそぎが行われているのだけが、まだ夏である証だった。
語釈
- ならの小川
- 上賀茂神社を流れる川。「楢」の木と音が重なる。
- みそぎ
- 六月の末に川で身を清め、穢れを祓う行事。
- しるし
- 証拠。目印。
背景と読みどころ
風が涼しく、もう秋のようだと感じる。それでもみそぎが行われているのを見て、まだ夏なのだと知る。
夏の最後の日を詠んだ歌である。過ぎていく季節を、行事という人の営みのほうで確かめている。
『新勅撰和歌集』の夏の部に載る。
作者
従二位家隆(一一五八〜一二三七)。藤原家隆。『新古今和歌集』の撰者の一人で、定家と並び称された。