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はなさそふあらしにはゆきならで ふりゆくものはわがなりけり

入道前太政大臣にゅうどうさきのだいじょうだいじん  096

現代語訳

桜を誘って散らす嵐の庭に降るのは雪のような花びらだが、本当に古りゆくのは、この我が身であった。

語釈

花さそふ
花を誘って散らす。
激しい風。
雪ならで
雪ではなくて。散る花びらを雪に見立てている。
ふりゆく
「降りゆく」と「古りゆく」を掛けている。

背景と読みどころ

庭に降っているのは花びらであって、雪ではない。では本当に古びていくものは何かというと、自分の身だ、という運びになっている。

「ふり」の掛詞ひとつで、目の前の景色から我が身の話へ折り返している。

『新勅撰和歌集』の雑の部に載る。

作者

入道前太政大臣(一一七一〜一二四四)。藤原公経。太政大臣を務め、鎌倉幕府との縁を背景に大きな権勢を持った。