わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾く間もなし
現代語訳
私の袖は、引き潮のときでも姿を見せない沖の石のようだ。人は知らないけれど、涙で乾く間もない。
語釈
- 潮干
- 潮が引いたとき。
- 見えぬ
- 見えない。
- 沖の石
- 沖にあって、潮が引いても水面に出ることのない石。
- 知らね
- 知らないけれど。
背景と読みどころ
潮が引いても現れない沖の石は、いつも水に浸っている。その石に、乾く間のない袖を重ねている。
人に知られない、というのがこの歌の眼目である。見えないところで濡れ続けている、という設定が徹底している。
『千載和歌集』の恋の部に載る。この一首によって、作者は「沖の石の讃岐」と呼ばれた。
作者
二条院讃岐。十二世紀後半から十三世紀の歌人。源頼政の娘で、二条天皇に仕えた。生没年ははっきりしない。