見せばやな雄島の海人の袖だにも 濡れにぞ濡れし色は変はらず
現代語訳
見せたいものだ。雄島の漁師の袖でさえ、濡れに濡れても色までは変わらないのに、私の袖は血の涙で色が変わってしまった。
語釈
- 見せばやな
- 見せたいものだ。
- 雄島
- 松島にある島。
- だにも
- 〜でさえ。
- 色は変はらず
- 色は変わらない。
背景と読みどころ
漁師の袖は、いくら濡れても色までは変わらない。だが私の袖は色が変わってしまった。そこまで言って、見せたいと訴える。
血の涙という言い方は当時の恋の歌の約束事で、悲しみが極まった状態を表した。
『千載和歌集』の恋の部に載る。
作者
殷富門院大輔。十二世紀後半の歌人。後白河天皇の皇女、殷富門院に仕えた。歌数の多さで知られた。生没年ははっきりしない。