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たまえなばえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

式子内親王しょくしないしんのう  089

現代語訳

わが命よ、絶えるなら絶えてしまえ。生きながらえていては、この恋を隠しとおす力が弱ってしまうといけないから。

語釈

玉の緒
玉を貫き通す紐。転じて命のこと。
絶えなば絶えね
絶えるなら絶えてしまえ。
ながらへば
生きながらえていると。
忍ぶる
人目を忍んで隠す。
もぞする
「〜したら困る」という危惧を表す。

背景と読みどころ

命よ絶えてしまえ、という激しい言い方で始まるが、望んでいるのは死ではない。隠しとおす力のほうが弱ることを恐れている。

誰にも知られないままでいたい、というその一点だけで張りつめている歌である。

『新古今和歌集』には「忍ぶる恋」という題で詠まれた歌として載る。与えられた題に沿って作られたものであり、実際の恋の告白とは限らない。

作者

式子内親王(生年不明〜一二〇一)。後白河天皇の皇女。賀茂の斎院を長く務め、のちに出家した。藤原俊成に和歌を学んだとされる。