難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき
現代語訳
難波江の蘆の刈り根の一節ではないが、仮寝の一夜のために、身を尽くして恋しつづけることになるのだろうか。
語釈
- 難波江
- 難波の入り江。蘆の名所だった。
- かりね
- 蘆の「刈り根」と、「仮寝」を掛けている。
- ひとよ
- 蘆の「一節」と、「一夜」を掛けている。
- みをつくして
- 難波の「澪標」と、「身を尽くして」を掛けている。
背景と読みどころ
掛詞が三つ続く。蘆の姿を言う言葉が、そのまま一夜の恋の話になっていく。
歌合の題として「旅の宿で逢う恋」が与えられて詠まれた。仮の宿での一夜という設定自体が、あらかじめ決められていたものである。
『千載和歌集』の恋の部に載る。
作者
皇嘉門院別当。十二世紀の歌人。崇徳院の后である皇嘉門院に仕えた。生没年ははっきりしない。