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もすがらものおもふころはけやらで ねやのひまさへつれなかりけり

俊恵法師しゅんえほうし  085

現代語訳

一晩中もの思いにふけるこのごろは、なかなか夜が明けず、寝室の隙間までもが素っ気なく見える。

語釈

夜もすがら
一晩中。
明けやらで
なかなか明けきらないで。
ねや
寝室。
つれなし
素っ気ない。冷たい。

背景と読みどころ

待っても来ない夜が、いつまでも明けない。そのいらだちが、寝室の隙間にまで向かっている。

冷たいのは相手のはずなのに、そのつらさが戸の隙間にまで移っている。「さへ」の一語が、その八つ当たりの気分を伝える。

『千載和歌集』の恋の部に載る。

作者

俊恵法師(一一一三〜没年不明)。七十四番の源俊頼の子。自坊に歌人を集めて歌の会を開いた。鴨長明はその弟子にあたる。