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ながらへばまたこのごろやしのばれむ しといまこひしき

藤原清輔朝臣ふじわらのきよすけあそん  084

現代語訳

生きながらえたなら、つらい今このごろも懐かしく思い出すのだろうか。つらいと思っていた昔が、今では恋しいのだから。

語釈

ながらへば
生きながらえたなら。
しのばれむ
懐かしく思い出されるだろう。
憂しと見し世
つらいと思っていた昔。

背景と読みどころ

昔つらかったことが、今は恋しい。ならば今つらいことも、いつか恋しくなるのだろう。時が経てば苦しみは薄れるという経験を、そのまま先の話に当てはめている。

慰めのようでいて、慰めきれていない。「や」という問いかけの形が、その頼りなさを残している。

『新古今和歌集』の雑の部に載る。

作者

藤原清輔(一一〇四〜一一七七)。七十九番の左京大夫顕輔の子。歌学に詳しく、書物を多く残した。