ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる
現代語訳
ほととぎすが鳴いたほうを眺めると、そこにはもう姿はなく、ただ明け方の月が残っているだけだった。
語釈
- ほととぎす
- 夏を告げる鳥。その初音を待つのが習わしだった。
- 鳴きつる方
- 鳴いたほうの方角。
- ただ
- ただもう。〜だけ。
背景と読みどころ
声のしたほうを見ても、鳥はもういない。残っているのは白々とした月だけである。
待ちに待って、ようやく聞けた声。その主の姿は見られない、というすれ違いを詠んでいる。
『千載和歌集』の夏の部に載る。
作者
後徳大寺左大臣(一一三九〜一一九一)。藤原実定。歌のほか、管弦にも優れた。