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ほととぎすきつるかたをながむれば ただ有明ありあけつきのこれる

後徳大寺左大臣ごとくだいじのさだいじん  081

現代語訳

ほととぎすが鳴いたほうを眺めると、そこにはもう姿はなく、ただ明け方の月が残っているだけだった。

語釈

ほととぎす
夏を告げる鳥。その初音を待つのが習わしだった。
鳴きつる方
鳴いたほうの方角。
ただ
ただもう。〜だけ。

背景と読みどころ

声のしたほうを見ても、鳥はもういない。残っているのは白々とした月だけである。

待ちに待って、ようやく聞けた声。その主の姿は見られない、というすれ違いを詠んでいる。

『千載和歌集』の夏の部に載る。

作者

後徳大寺左大臣(一一三九〜一一九一)。藤原実定。歌のほか、管弦にも優れた。