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わたの原(はら)漕(こ)ぎ出(い)でて見(み)ればひさかたの 雲居(くもゐ)にまがふ沖(おき)つ白波(しらなみ)

法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)  076

現代語訳

大海原へ漕ぎ出して見わたすと、はるかな沖の白波が、空の雲と見分けがつかない。

語釈

わたの原
広い海。
ひさかたの
「雲」「空」などにかかる枕詞。
雲居
雲のある所。空。
まがふ
見分けがつかない。

背景と読みどころ

沖の白波が、空の雲と見分けられない。海と空の境が消えてしまう、広さだけの歌である。

十一番の篁の歌と同じく「わたの原」で始まるが、こちらには嘆きがない。眺めそのものを詠んでいる。

『詞花和歌集』の雑の部に載る。

作者

法性寺入道前関白太政大臣(一〇九七〜一一六四)。藤原忠通。摂政・関白を務め、書にも優れた。