音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ
現代語訳
噂に高い高師の浜の、いたずらに立つあだ波。その波ではないが、浮気者と評判のあなたの言葉は心にかけまい。袖が涙で濡れては困るから。
語釈
- 音に聞く
- 噂に高い。
- 高師の浜
- 今の大阪府、堺市浜寺から高石市にかけての海岸。「高し」を掛けている。
- あだ波
- いたずらに立つ波。浮気な心のたとえ。
- かけじ
- 心にかけまい。波を「かけ」ない意も重なる。
背景と読みどころ
恋の歌を贈ってきた相手への返しである。あなたは浮気者だと評判だから相手にしない、と断っている。
歌合の座で、たがいに恋の歌を詠み交わす趣向として作られたもので、実際の恋のやりとりではない。
『金葉和歌集』の恋の部に載る。
作者
祐子内親王家紀伊。十一世紀後半の歌人。祐子内親王に仕えた。生没年ははっきりしない。