さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮
現代語訳
寂しさに耐えかねて庵を出て見わたすと、どこも同じように寂しい、秋の夕暮れだった。
語釈
- 宿
- 住まい。ここでは草庵。
- 立ち出でて
- 外へ出て。
- ながむ
- ぼんやりと遠くを見る。
背景と読みどころ
寂しさから逃れようと外に出たのに、外も同じだった。逃げ場がないと知る歌である。
「いづこも同じ」という言い方が、寂しさを個人の気分から、あたり一面に広がるものへと変えている。
『後拾遺和歌集』の秋の部に載る。秋の夕暮れで歌を結ぶ型は、後の歌人たちに受け継がれていった。
作者
良暹法師。十一世紀の僧。比叡山に学び、のちに大原に住んだと伝えられる。生没年ははっきりしない。