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こころにもあらでうきにながらへば こひしかるべき夜半よはつきかな

三条院さんじょういん  068

現代語訳

本意ではないまま、このつらい世に生きながらえたなら、きっと恋しく思い出すのだろう。今宵のこの夜半の月を。

語釈

心にもあらで
本意ではないまま。
うき世
つらいこの世。
ながらへば
生きながらえたなら。
夜半の月
夜中の月。

背景と読みどころ

眼を病み、退位を迫られていた頃の歌とされる。

いま見ている月を、これから「恋しくなるだろう」と言う。過ぎたことを惜しむのではなく、未来から今を惜しんでいる。

『後拾遺和歌集』の雑の部に載る。

作者

三条院(九七六〜一〇一七)。眼を病み、藤原道長に迫られて位を退いた。その翌年に亡くなっている。