一覧へ戻る

うらみわびさぬそでだにあるものを こひちなむこそしけれ

相模さがみ  065

現代語訳

恨みつづけて涙の乾かない袖さえ嘆かわしいのに、その上この恋で評判まで朽ちてしまうのが惜しい。

語釈

恨みわび
恨み続けて、思い悩んで。
干さぬ袖
涙で乾く間のない袖。
だに
〜さえ。
朽ちなむ
朽ちてしまうだろう。

背景と読みどころ

涙で袖が朽ちるだけでも嘆かわしいのに、そのうえ恋の噂で評判まで朽ちてしまう。二つの「朽ちる」を重ねている。

相手を恨みながら、気にしているのは自分の名のほうである。恋の歌でありながら、世間の目を向いている。

『後拾遺和歌集』の恋の部に、歌合で詠まれた歌として載る。

作者

相模。十一世紀前半の歌人。相模守の妻であったことからこう呼ばれる。歌合に多く出て活躍した。生没年ははっきりしない。