恨みわび干さぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ
現代語訳
恨みつづけて涙の乾かない袖さえ嘆かわしいのに、その上この恋で評判まで朽ちてしまうのが惜しい。
語釈
- 恨みわび
- 恨み続けて、思い悩んで。
- 干さぬ袖
- 涙で乾く間のない袖。
- だに
- 〜さえ。
- 朽ちなむ
- 朽ちてしまうだろう。
背景と読みどころ
涙で袖が朽ちるだけでも嘆かわしいのに、そのうえ恋の噂で評判まで朽ちてしまう。二つの「朽ちる」を重ねている。
相手を恨みながら、気にしているのは自分の名のほうである。恋の歌でありながら、世間の目を向いている。
『後拾遺和歌集』の恋の部に、歌合で詠まれた歌として載る。
作者
相模。十一世紀前半の歌人。相模守の妻であったことからこう呼ばれる。歌合に多く出て活躍した。生没年ははっきりしない。