今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならで言ふよしもがな
現代語訳
今はただ、あきらめてしまおうと、それだけを、人づてではなく直接あなたに言う手立てがあればいいのに。
語釈
- 思ひ絶えなむ
- あきらめてしまおう。
- とばかりを
- ということだけを。
- 人づてならで
- 人を介してではなく。
- よしもがな
- 手立てがあればいいのに。
背景と読みどころ
皇女との仲が問題となり、逢うことを禁じられた後の歌とされる。
言いたいのは、あきらめるということだけである。それすら直接には伝えられない。その状況が歌の中心にある。
『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。
作者
左京大夫道雅(九九二〜一〇五四)。藤原道雅。五十四番の儀同三司母の孫にあたる。荒れた振る舞いが多く伝えられる。