大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立
現代語訳
大江山を越えて生野を通る道は遠いので、天の橋立をまだ踏んでもいないし、母からの文も見ていない。
語釈
- 大江山
- 京から丹後へ向かう道にある山。
- いく野
- 地名の「生野」と、「行く」を掛けている。
- ふみ
- 「文」すなわち手紙と、「踏み」を掛けている。
- 天の橋立
- 丹後にある名所。
背景と読みどころ
母が丹後にいた頃、歌の代作を頼む使いはもう出したのかとからかわれ、その場ですぐに返した歌とされる。
掛詞を二つ重ね、丹後へ向かう地名を三つ入れて、即座に組み立てている。うまさそのものが答えになっている。
『金葉和歌集』の雑の部に載る。
作者
小式部内侍。和泉式部の娘。母とともに中宮彰子に仕えた。二十代で亡くなったと伝えられる。