やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな
現代語訳
ためらわずに寝てしまえばよかったのに。夜が更けて、西に傾くまでの月を見てしまった。
語釈
- やすらはで
- ためらわずに。
- 寝なましものを
- 寝てしまえばよかったのに。
- さ夜
- 夜。「さ」は語調を整える語。
- かたぶく
- 月が西に傾く。
背景と読みどころ
姉妹に代わって詠んだ歌とされる。来ると言った相手が来ず、待つうちに月が傾いてしまった。
責めているのは相手ではなく、待ってしまった自分のほうである。「寝てしまえばよかった」という後悔の形をとっている。
『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。
作者
赤染衛門。十世紀後半から十一世紀の歌人。中宮彰子に仕えた。『栄花物語』の作者と伝えられる。生没年ははっきりしない。