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あらざらむこののほかのおも いまひとたびのふこともがな

和泉式部いずみしきぶ  056

現代語訳

この世からいなくなる私の、あの世への思い出に。せめてもう一度だけ、あなたに逢いたい。

語釈

あらざらむ
生きてはいないだろう。
この世のほか
あの世。
思ひ出に
思い出とするために。
もがな
〜があってほしい。

背景と読みどころ

病が重くなったときに詠んだ歌とされる。死を前にして望むのが、もう一度逢うことだけだという。

「あらざらむ」といきなり自分の死を置いて、そこから逆算して、いま欲しいものを一つだけ言う。

『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。

作者

和泉式部。十世紀後半から十一世紀の歌人。恋の歌に優れ、中宮彰子に仕えた。生没年ははっきりしない。