滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ
現代語訳
滝の音が絶えてから長い年月がたったけれど、その名だけは流れ伝わって、今も聞こえてくる。
語釈
- 滝
- 嵯峨にあった滝。この歌が詠まれた頃には、すでに水が涸れていた。
- 絶えて久しく
- 途絶えてから長い時間がたって。
- 名こそ流れて
- 評判が世に伝わって。「流れ」は水と評判の両方に掛かる。
背景と読みどころ
涸れた滝の跡を見て詠んだ歌である。水は流れなくなったが、名だけは流れ続けている。
「絶え」「流れ」「聞こえ」と、水にも評判にも使える言葉を並べていく。三つの語がすべて二重に働いている。
『拾遺和歌集』の雑の部に載る。
作者
大納言公任(九六六〜一〇四一)。藤原公任。歌・漢詩・管弦のいずれにも優れ、歌の批評でも重んじられた。