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たきおとえてひさしくなりぬれど こそながれてなほこえけれ

大納言公任だいなごんきんとう  055

現代語訳

滝の音が絶えてから長い年月がたったけれど、その名だけは流れ伝わって、今も聞こえてくる。

語釈

嵯峨にあった滝。この歌が詠まれた頃には、すでに水が涸れていた。
絶えて久しく
途絶えてから長い時間がたって。
名こそ流れて
評判が世に伝わって。「流れ」は水と評判の両方に掛かる。

背景と読みどころ

涸れた滝の跡を見て詠んだ歌である。水は流れなくなったが、名だけは流れ続けている。

「絶え」「流れ」「聞こえ」と、水にも評判にも使える言葉を並べていく。三つの語がすべて二重に働いている。

『拾遺和歌集』の雑の部に載る。

作者

大納言公任(九六六〜一〇四一)。藤原公任。歌・漢詩・管弦のいずれにも優れ、歌の批評でも重んじられた。