忘れじの行末までは難ければ 今日を限りの命ともがな
現代語訳
忘れまいというその言葉が、遠い先まで続くとは思えない。ならば今日を最後として、この命が尽きてほしい。
語釈
- 忘れじ
- 忘れまい、というあの人の言葉。
- 行末
- これから先。将来。
- 難ければ
- あてにしがたいので。
- もがな
- 〜であってほしい。
背景と読みどころ
忘れないという言葉を疑っているのではない。ただ、遠い先まで続くとは限らないと知っている。だから、いちばん幸せな今日で終わりたいと言う。
幸せの絶頂で死を願う、という形をとった恋の歌である。
『新古今和歌集』の恋の部に載る。
作者
儀同三司母。高階貴子。藤原道隆の妻で、一条天皇の中宮定子の母にあたる。生没年ははっきりしない。