嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る
現代語訳
嘆きながらひとりで寝る夜が明けるまでが、どれほど長いものか、あなたはご存じだろうか。
語釈
- 嘆きつつ
- 嘆きながら。
- 明くる間
- 夜が明けるまでのあいだ。
- とかは知る
- 知っているだろうか、いや知るまい。
背景と読みどころ
夫が別の女のもとへ通っていた頃、門を開けずに帰した翌朝、色あせた菊に添えて贈った歌とされる。
責める言葉は使わず、あなたには分かるまい、とだけ言う。その抑え方が、かえって強い。
『拾遺和歌集』の恋の部に載る。作者自身の『蜻蛉日記』にも、このときのいきさつが書かれている。
作者
右大将道綱母。十世紀後半の女性。藤原兼家の妻の一人で、藤原道綱の母。『蜻蛉日記』の作者。生没年ははっきりしない。