明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな
現代語訳
夜が明ければまた日は暮れ、そしてまた逢えると分かってはいるのに、それでも恨めしい明け方であることよ。
語釈
- 明けぬれば
- 夜が明けたので。
- 暮るるものとは
- また日が暮れるものだとは。
- なほ
- それでもやはり。
背景と読みどころ
夜が明ければ、また夜は来る。だからまた逢える。それは分かっている。分かっていてもつらい、というところにこの歌はある。
理屈で自分を納得させようとして、できていない。その不器用さが、そのまま出ている。
『後拾遺和歌集』の恋の部に、女のもとから帰って贈った歌として載る。
作者
藤原道信(九七二〜九九四)。二十三歳で亡くなった。若くして歌の才を認められていた。