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かくとだにえやは伊吹いぶきのさしもぐさ さしもらじなゆるおもひを

藤原実方朝臣ふじわらのさねかたあそん  051

現代語訳

これほど思っているとさえ言えない。伊吹山のさしも草ではないが、それほどとはご存じないだろう。この燃えるような思いを。

語釈

かくとだに
こうだとさえ。
えやは
言うことができようか、いや、できない。「言ふ」と「伊吹」の音が重なる。
さしも草
よもぎ。灸に使うもぐさの原料で、伊吹山の産が知られた。
さしも
それほどとは。

背景と読みどころ

「え(言ふ)」「いぶき」「さしも」と、言葉が次々に重なっていく。技巧をこれでもかと詰め込んだ一首である。

もぐさは火をつけて燃やすものである。だから最後の「燃ゆる思ひ」まで、一続きにつながっている。

『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。

作者

藤原実方(生年不明〜九九八)。歌人として知られたが、陸奥守として任地へ下り、その地で亡くなった。