君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな
現代語訳
あなたのためなら惜しくないと思っていた命までも、いまは長くあってほしいと思うようになった。
語釈
- 君がため
- あなたのためなら。
- 惜しからざりし
- 惜しくないと思っていた。
- もがな
- 〜であってほしい。
背景と読みどころ
逢う前は、あなたのためなら命も惜しくないと思っていた。逢った後は、その命が長くあってほしいと思うようになった。恋の前と後で、命の意味が入れ替わる。
作者は二十一歳で亡くなっている。そのことを知って読むと、響き方が変わる。
『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。
作者
藤原義孝(九五四〜九七四)。四十五番の謙徳公伊尹の子。二十一歳で病により亡くなった。