風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけて物を思ふころかな
現代語訳
風が激しいので岩を打つ波が自分だけ砕けるように、私だけが心を砕いて思い悩んでいるこのごろだ。
語釈
- 風をいたみ
- 風が激しいので。「〜を〜み」で理由を表す言い方。
- おのれのみ
- 自分だけが。
- くだく
- 波が砕けることと、心を砕くことを掛けている。
背景と読みどころ
岩は動かず、波だけが砕ける。その一方的な関係が、そのまま片思いの形になっている。
「くだけて」の一語で、波の動きと心の動きが重なる。
『詞花和歌集』の恋の部に載る。
作者
源重之。十世紀後半の歌人。清和天皇の曽孫にあたるが、地方の役人として各地を回った。