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八重葎やへむぐらしげれる宿やどのさびしきに ひとこそえね秋はにけり

恵慶法師えぎょうほうし  047

現代語訳

幾重にも雑草が茂った荒れた家は寂しく、訪れる人の姿もない。それでも秋だけはやって来た。

語釈

八重葎
幾重にも生い茂るつる草。荒れた家のしるしとされた。
宿
家。すまい。
人こそ見えね
人の姿は見えないが。「こそ」を受けて「ね」で結び、下へ続く。

背景と読みどころ

荒れた邸に人々が集まって歌を詠んだときの作とされる。実際にはにぎやかな場で、荒れ果てた家の寂しさを題にして詠んでいる。

訪れる人はいないのに、秋だけは来る。人と季節を並べ、来ないものと来るものを対にしている。

『拾遺和歌集』の秋の部に載る。

作者

恵慶法師。十世紀後半の僧。播磨の国分寺の僧であったと伝えられる。