由良の門を渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ恋の道かな
現代語訳
由良の門を渡る舟人が櫂を失うように、行方も分からないまま漂っていく恋の道であることよ。
語釈
- 由良の門
- 海や川の狭くなったところ。丹後の由良川の河口(今の京都府北部)とする説と、紀伊の由良(今の和歌山県日高郡)とする説がある。
- 舟人
- 船をあやつる人。
- かぢ
- 船を進めるための道具。櫂や櫓をいう。
- 絶え
- 失って。なくして。
背景と読みどころ
櫂を失った舟が、波にまかせて漂っていく。その姿を、行き先の分からない恋に重ねている。
上の句がそのまま下の句のたとえになっていて、たとえと本題の切れ目がない。
『新古今和歌集』の恋の部に載る。
作者
曽禰好忠。十世紀後半の歌人。丹後の役人を務めた。型にはまらない歌を詠み、当時は変わり者と見られていた。