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ふことのえてしなくはなかなかに ひとをもをもうらみざらまし

中納言朝忠ちゅうなごんあさただ  044

現代語訳

逢うことがまったく無いのであれば、かえってあの人を恨むことも、我が身を嘆くこともなかっただろうに。

語釈

絶えて
まったく。下に打消を伴う。
なかなかに
かえって。むしろ。
まし
〜だっただろうに。事実に反することを思い描く言い方。

背景と読みどころ

一度も逢えないほうがよかった、という言い方で、逢ってしまった後のつらさを表している。

「まし」は、実際にはそうでないことを想像するときに使う語である。だからこの歌は、すでに逢ってしまった人の歌になる。

『拾遺和歌集』の恋の部に、歌合で詠まれた歌として載る。

作者

中納言朝忠(九一〇〜九六六)。藤原朝忠。二十五番の三条右大臣定方の子。笙の名手でもあった。