契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは
現代語訳
固く約束したはずだ。たがいに涙で濡れた袖をしぼりながら、末の松山を波が越すことがないように、心変わりはしないと。
語釈
- 契りきな
- 約束したではないか。
- かたみに
- たがいに。
- 末の松山
- 陸奥にある地。ここを波が越すことはないとされ、あり得ないことのたとえに使われた。
背景と読みどころ
心変わりされた女に代わって、作者が女の気持ちを詠んだ歌とされる。
「末の松山を波が越えることはない」は、当時よく知られた言い回しだった。その決まり文句を、破られた約束の証拠として突きつけている。
『後拾遺和歌集』の恋の部に載る。
作者
清原元輔(九〇八〜九九〇)。清少納言の父で、三十六番の清原深養父の孫にあたる。『後撰和歌集』の編纂に加わった。