しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで
現代語訳
隠していたのに顔に出てしまった。物思いでもしているのかと人に尋ねられるほどに。
語釈
- しのぶ
- 人目を忍んで隠す。
- 色に出づ
- 顔つきや様子に表れる。
- ものや思ふ
- 物思いをしているのか。
背景と読みどころ
隠しきれずに顔に出てしまった、という一点だけを詠んでいる。説明を足さないぶん、かえって強い。
天徳四年の内裏歌合で、次の四十一番の歌と競い合った一首として知られる。判定がつかず、天皇がこちらの歌を口ずさんだことで勝ちが決まったと伝えられる。
『拾遺和歌集』の恋の部に載る。
作者
平兼盛(生年不明〜九九〇)。光孝天皇の子孫にあたるが、臣下に下って平の姓を名のった。