浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき
現代語訳
浅茅の生えた小野の篠原、その「しの」ではないが、こらえてもこらえきれない。どうしてこれほど人が恋しいのだろう。
語釈
- 浅茅生
- 丈の低い茅の生えている場所。
- 篠原
- 細い竹の生えた原。「しの」が下の「しのぶ」を導く。
- あまりて
- こらえきれなくなって。
- などか
- どうして。
背景と読みどころ
初句と二句は「しのぶ」を引き出すために置かれた序詞である。人けのない野の情景が、そのまま人目を忍ぶ心に重なる。
『古今和歌集』にある作者不明の歌「浅茅生の小野の篠原忍ぶとも人知るらめや言ふ人なしに」を下敷きにしている。
『後撰和歌集』の恋の部に載る。
作者
参議等(八八〇〜九五一)。源等。嵯峨天皇の曽孫にあたる。