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わすらるるをばおもはずちかひてし ひといのちしくもあるかな

右近うこん  038

現代語訳

忘れられる我が身のことは何とも思わない。ただ、神に誓ったあの人の命が惜しまれてならない。

語釈

忘らるる
忘れられる。
身をば思はず
我が身のことは何とも思わない。
誓ひてし
神に誓った。

背景と読みどころ

心変わりを責めるかわりに、あなたの命が心配だ、と言っている。神に立てた誓いを破れば罰があたる、と信じられていたからである。

表向きは相手を思いやる言葉でありながら、その裏で、裏切ったのはあなただとはっきり突きつけている。

『拾遺和歌集』の恋の部に載る。

作者

右近。十世紀前半の女性。醍醐天皇の中宮に仕えた。伝記は分かっていないことが多い。