白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける
現代語訳
白露に風がしきりに吹きつける秋の野は、糸で貫きとめていない玉が散りこぼれるようだ。
語釈
- 白露
- 草に置く露。白く光るのでこう呼ぶ。
- 吹きしく
- しきりに吹く。
- つらぬきとめぬ
- 糸で貫きとめていない。
- 玉
- 真珠などの玉。ここでは露のたとえ。
背景と読みどころ
露を玉に見立てるのはよくある趣向だが、この歌は「糸で通していない玉」と言うことで、ばらばらに散り乱れる感じまで出している。
秋の野いっぱいに玉が飛び散る、という華やかな絵になっている。
『後撰和歌集』の秋の部に載る。
作者
文屋朝康。九世紀後半から十世紀初めの歌人。二十二番の文屋康秀の子。伝記はほとんど分かっていない。