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ひさかたのひかりのどけき春の日に しづごころなく花のるらむ

紀友則きのとものり  033

現代語訳

日の光がこんなにも穏やかな春の日に、どうして花は落ち着かず散っていくのだろう。

語釈

ひさかたの
「光」「空」「月」などにかかる枕詞。
のどけき
のどかな。穏やかな。
しづ心
静かに落ち着いた心。
らむ
「〜なのだろう」。目の前のことについて、その理由を推し量る言い方。

背景と読みどころ

上の句はひたすら穏やかで、下の句だけが落ち着かない。この対比だけで出来ている歌である。

「しづ心なく」と言っているのは桜のことだが、散るのを惜しんで落ち着かないのは、見ている側の心でもある。

『古今和歌集』春下に収められている。

作者

紀友則(生年不明〜九〇七頃)。紀貫之のいとこにあたる。『古今和歌集』の撰者の一人に選ばれたが、編纂の途中で亡くなったとされる。