朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪
現代語訳
明け方、有明の月の光かと見まがうほどに、吉野の里に白雪が降り積もっている。
語釈
- 朝ぼらけ
- 夜が明けて、あたりがほのかに明るくなるころ。
- 見るまでに
- 見まちがえるほどに。
- 吉野の里
- 今の奈良県吉野。雪の深い地として詠まれてきた。
背景と読みどころ
明け方のほの明るさのなかで、白い雪が月の光のように見える。色の少ない、白と白だけの歌である。
「有明の月と見るまでに」は、実際に月が出ているのではなく、雪の明るさを月にたとえた言い方である。
『古今和歌集』の冬の部に載る。
作者
坂上是則。九世紀後半から十世紀初めの歌人。坂上田村麻呂の子孫と伝えられ、蹴鞠の名手でもあったという。