あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む
現代語訳
山鳥の垂れ下がった尾のように長い長い夜を、私はひとりで寝るのだろうか。
語釈
- あしびきの
- 「山」にかかる枕詞。意味を足すというより、調子を整える言葉。
- しだり尾
- 長く垂れ下がった尾。
- ながながし
- 長々しい。いつまでも続く。
- かも寝む
- 「〜寝るのだろうか」。
背景と読みどころ
上の句の三句は、すべて「ながながし」を引き出すために置かれている。山鳥の垂れた尾の長さが、そのまま夜の長さに移る。
山鳥は雄と雌が谷を隔てて別々に眠るという言い伝えがあり、ひとり寝の歌にふさわしい鳥とされてきた。
ただし、この歌が人麻呂の作かどうかは分かっていない。『万葉集』には作者を記さない形で見え、人麻呂の作として伝えられたのは後のことである。
作者
柿本人麻呂。七世紀後半から八世紀初めの歌人。『万葉集』に多くの歌を残したが、生涯については分かっていないことが多い。