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このたびはぬさもとりあへず手向山たむけやま 紅葉もみぢにしきかみのまにまに

菅家かんけ  024

現代語訳

今度の旅は急なことで幣を用意できなかった。手向山の紅葉を錦として捧げるので、神よ、御心のままにお受けいただきたい。

語釈

このたび
「この度」と「この旅」を掛けている。
神に捧げる布や紙。旅の安全を祈って手向けた。
とりあへず
用意する間もなく。
手向山
峠などで神に手向けをする山。
まにまに
御心のままに。

背景と読みどころ

上皇の行幸に従ったときの歌とされる。急な旅で幣の用意がなかったので、代わりに目の前の紅葉を捧げます、という挨拶の歌である。

「たび」に度と旅が、「手向山」に手向けが掛かる。技巧を重ねながら、言っているのは神への詫びと願いだけである。

『古今和歌集』の旅の部に載る。

作者

菅家(八四五〜九〇三)。菅原道真。学者として重んじられ右大臣にまで上ったが、大宰府へ左遷され、その地で没した。